最期を看取ろう
今シーズンは本当に暖かい日が多く、それと重なるようによく雨が降る。
1/22から開拓を始めた大谷沢ミックスエリアだが、2/17で登るべきラインを決めたものの、そのラインに対して事前準備はゼロ。
そしてその週末の雨予報から今シーズンは登れずに終わるかもしれない。
雨が降るとされていた2/18~19は「Dragon Dive」決行のため飛竜山付近に滞在していたのだが、特に18日は予報以上の土砂降りであった。
「秩父は全滅だろうな・・・。」
飛竜山からの下山中、雨上がりの青空を見上げながらぼんやりと考えていた。
秩父の氷はしぶとい
2/22はマチャと予定を合わせていたが、ホラノ貝窪大滝の登攀を終え、今シーズンに予定していた氷瀑は全て登り終えたこと、さらに雨で標高の低い場所の氷瀑は崩壊している可能性が高いことから、他に行くところもないので、氷が落ちてしまっているならせめてその最期を看取りに行こうと大谷沢ミックスエリアに向かうことにした。
ちなみにマチャはこの流域は初となる。
アプローチも随分洗練され、駐車場から2時間弱で到着。
歩くのが遅い俺を後目に、マチャはゴゼの滝の様子も見てきてくれた。
あれ、氷残ってるじゃん。これはミックスも残ってそうだ。
思いもよらない光景に足取りも軽くなる。
ミックスエリアに到着すると、案の定、氷は残っていた。
むしろちょっと成長すら見える。
さすが秩父・・・恐るべし。
ツララを繋ぐ
さっそくマチャにラインを説明し、共有を図る。
フィックスロープを使い落ち口まで登り、ロープを切り替えて振られ止めのプロテクションを取りながらローワーダウンで降りる。
カルマの時もそうだったが、トラバースルートではこれが一番大変な作業だ。
カム、トライカム、ショートスクリューで無事にトップロープを張り、長々とビレイしてくれたマチャから試登開始。
マチャはホールドを見つけるのが上手くなっていて、難なくクリア。
続く俺もクリア。
相談した結果、ナチュラルではなくボルトを打つことに決めた。
ボルトの位置は下で相談したが、打ちながら下で見上げるマチャに声を掛け、調整しながら打つ。
やはり一人よりも二人の方が圧倒的に効率がいい。
もう一人いれば撮影も出来るのに…などと思いながら2時間掛からずしてボルトを打ち終わった。
ということで長らく待たせたマチャからRPトライ開始。
一度試登しただけあり、問題なくクリア。
続く俺はロープのスタックに苦しめられながらも無事にクリア。
なんだかわからないけど、とりあえずカッコいい写真が撮れるのはミックスクライミングの大きな魅力である。
途中、マチャはアンダーなんかも使っていたが、俺はこれを使わずで、人それぞれムーブや使うホールドが違うのが面白いところだなぁなどと思ったり。
ということで奥秩父に新たなミックスルートが生まれた。
その名も「マーメイド」
エリアの右から左へ、ツララの海を泳いでいくミックスクライミングらしいラインだ。
さて、今シーズンもわずかとなった。
予定ではあと二本のミックスクライミングをする予定だが、それぞれトライ出来る日数は一日ずつ。
限られたチャンスをものに出来るか。ここからはそういう闘いになる。