氷谷とは・・・
氷谷は奥秩父でも有数の美渓と名高い和名倉沢の支沢である。
氷谷の情報は乏しく、古(いにしえ)の和名倉沢の遡行図にちょこっとだけ情報が載っているものの、和名倉沢に比べ遡行の趣きは少なく、時間を掛けてまで氷谷の遡行に出向く者はよっぽどの物好きくらいだろうか。
しかしこの遡行図によると、和名倉沢との出合いにかける二段瀑を超えた20分程のところに落差30mの滝があるとのことだ。
図書館などで調査を進めると、どうやら山葵滝と呼ばれているらしい。
さらにネット上を検索すると、唯一出てきたブログには「山葵滝が崩壊した」ということであった。
いやしかし、滝が崩壊なんてありえるのか・・・?
そもそも他人の言うことを信じるのか?
俺は自分の目で見たモノしか信じない。山葵滝はきっとある。
そんなこんなで氷谷の遡行を決めた。
復習の和名倉沢(登山道)
当日はメンバーが捕まらず、ソロでの活動となった。
退院後にソロで長時間活動は初めて。
また氷谷出合いの二段瀑の高巻きが出来るのかもよくわからず、場合によってはアグレッシブになること請け合いだ。ぶっちゃけ不安だ。
ということでマチャに「夜までに連絡が無かったら通報してくれ」とメッセージを送り(よく考えたらなんの解決にもなってないが・・・)、いざ活動開始。
先日の和名倉沢大滝の調査を活かし、今回は吊り橋を渡らず長靴で渡渉する。たぶん10分くらい早い。
そのまま和名倉沢に突入し、早速右岸から左岸へも長靴で渡渉、なんかもうめんどいからそのまま長靴で活動を継続した。
前回、下山時にしっかりとした踏み跡を確認しているのでうまく合流できるかと思ったが、なかなか正規の登山道が見つからない。
正解を知っているだけにタチが悪く、見つけようとして右往左往し、結局石津窪を遡行して登山道と合流した。結局ここまでに1時間半掛けてしまった。
登山道に合流してからは快適な歩行となり、氷谷への降下点まで約1時間で到着。
ロープは使わず、歩いて沢に降り立った
氷谷へ
さて、核心はこいつをどう越えるか。
沢靴なら水流の左側がいけそうだが・・・。
左からの大高巻きは先が見えず不穏。
ということで今回は右からの高巻きで越えることに。
無事に越えると、情報では伏流とのことだったが、水流がある。
でも少し歩くと伏流となり、ゴーロと呼ぶには些かデカすぎる巨岩帯へ。
しかし崩落したにしては周囲の地形が平凡過ぎる。
ここまで30分以上歩いているが、もう少し様子を見ても良さそうだ。
と、目の前に二俣が現れる。
遡行図が確かならここが大滝がある地点。
崩壊したというのは本当なのか・・・。
諦め悪く右俣の基部に近づくと、遠くから水の流れる音が聞こえる。
まだ諦めるのは早そうだ。
山葵滝
水の音に呼ばれるように巨岩帯を進むと、様相が変わってきた。
気温は下がり、雪が残っている。
そして雪を払うと氷が現れた。
さらに歩を進めると、青白いモノが見えてきた。
滝だ。しかも凍ってる。
標高約1060m地点、落差約30mくらいかな?
氷谷出合いの二段瀑を越えてから約1時間程度。
なんだよ、遡行図とかって全然嘘じゃん。
崩壊との情報があった山葵滝は健在であった。
しかしもうここまで氷結しているとは・・・。
和名倉沢に比べると水量はかなり少ないものの、和名倉沢の大滝とほぼ同標高なだけに、あちらも期待出来そうだ。
ということで一頻り愛でた後、帰路についた。
さて、シーズン到来が楽しみですな。