奥多摩奥秩父アックス登攀部隊

通称「たまちち」の活動記録

【アイスクライミング】乗鞍高原・伊奈川南俣・幻の大滝

日にち・メンバー

2025年1月5日

メンバー:マチャアキ、隊長、ゴリーダー(記)

 

乗鞍高原・伊奈川南俣・幻の大滝は2022年2月6日に千村・塩谷ペアにより初登されています。(Rock&Snow96より)

 

いつもの見切り発車から舞台は乗鞍高原

暇なのでとりあえずなにかやろうと計画したものの、年末から年始に掛けて偵察に入ったいくつかの場所は思うようには発達しておらず(よく考えれば当たり前だが)、しかしせっかく久しぶりに隊長が参加するのに空振りもなぁ…ということで秘蔵の滝フォルダを物色したところ、乗鞍高原の伊那川の「まぼろしの大滝」が目に止まった。

マチャは翌6日は仕事なので遠くに行く計画は躊躇ったが、聞いてみるとOKとのこと。

天気もここ数日で唯一の晴れ。

これはたぶん導かれている…。

 

過去の記録を漁ると、氷瀑の時期は1月下旬以降。

1月の早い時期の氷結はありえるのか、未発達なのではないか。

これについては自分の中で仮説があり、おそらく登れる程度に結氷しているだろうという確信があった

 

前日はデクさん、マチャと某所の偵察に入り地獄みたいな一日を過ごし、俺の家で隊長が送ってくれた熊とイノシシの鍋で英気を養い早めに就寝。

4時に青梅を出発。新島島のセブンイレブンに7時過ぎに到着し、隊長と合流した。

 

アプローチ

まずは乗鞍スキーリゾートまで車を走らせる。

リフトを2本乗り継ぎ、スノーシューで1〜2時間のプランだ。

 

駐車場には多くのスキー客がいるが、その中をでかいザックを背負ったデカい男が3人…異様である。

 

3枚綴りの回数券を2つ購入し、まずは夢の平クワッドリフトで1.5km程度進む…はずが、リフトの調子が悪く動いていない…。

係員に聞くと、以前から調子が悪く、時々運休しているようだ。

いきなり出鼻を挫かれたが、転戦するにも善五郎くらいしか無いわけで、しかしそんなものを登るためにわざわざ乗鞍くんだりまで来たわけではない。

 

ということでスキー場を歩いて登ることに。

ああ結局こういう展開か…。

 

圧雪路を歩く中で、たまにリフトが試運転で動いているのが確認できた。

一本目を登り切る頃に運転再開してくれたらなぁ、という思いも虚しく一本目のリフトの終了点である三本滝レストハウスに到着。

 

少し休憩して情報を集めると、どうやらリフトがまもなく動きそうとのこと。

10:30まで待機してようやく動いたカモシカリフトに乗り、予定よりおよそ1.5時間遅れてスキー場の最高地点、標高1970m付近に到達した。

ここからスノーシューを履いて樹林帯へ。

 

いくつかの沢を跨ぎ、急斜面を越え、1.5時間ほど歩くと突然目の前に蒼氷が現れた。

 

幻の大滝・登攀

デカい…しかし薄い…。

予想よりも下流だったのでこれが幻の大滝か怪しいところだったが、写真と落口の岩壁が酷似しており、近寄ってみてこれだと確信。

 

氷は厚みのあるカーテンか瓦が何枚か重なったようなもので、試しにアックスを打ち込むと表面がボロボロと崩れ落ちる。こりゃ大変そうだ・・・。

 

見た目以上に悪い氷を前にジャンケンをし、勝ったマチャがリードで取り付くが、スクリューを打つ間も無く足がキレて2回グラウンドフォール。幸先が悪過ぎるぜ・・・。

三度目のトライでようやくスクリューをキメた。もう行くしかない。

 

氷は所々クラゲが飛び出していて、形状がある面白そうなクライミングだ。

一見休めそうな箇所も態勢が悪いようで、ゆっくりと慎重にロープを伸ばしていく。

 

だいたい真ん中まで来た時点でおよそ1時間が経過。

これはフォローの時間は無いだろうということで、隊長はロープを解除して撮影に徹する構えに入る。

 

前半の垂直ときどきクラゲ地帯を突破して多少傾斜が緩んだ地点でマチャから「スクリューの残数が少ない」との悲鳴が。

ここまできたらテンションを掛けるのもあれなので、身体が完全に安定した地点でダブルロープの一本を下ろしてスクリューを吊り上げることに。

ツララで形成された胎内くぐりのような場所に身を寄せ、マチャから合図。スクリューが無事にマチャの元に渡った。

 

その後は最後の薄かぶりを無事に突破するが、落ち口で「氷が無い!」との悲鳴が上がる。

ハラハラしたが、どうにか雪壁ラッセルで立木まで到達、完登。

2時間30分の奮闘劇であった。

(クライミングの模様はYoutubeをお楽しみに!)

 

撤退とアラジン、そしてジャスミン

懸垂、回収、健闘を讃えるとすぐに俺と隊長はロープを畳んで元来た道を戻る。

時刻は15:00。暗くなる16:30までにカモシカリフトの終了点まで戻らなければ。

 

と急ぐが、踏み跡を辿りつつ、時に隊長のショートカットが光り、40分でスキー場着。

なんとか日没を避けることができた。

 

帰り道はゲレンデをヒップソリやシリセードなどで滑り降りつつ、ブルーシートで滑り降りる「アラジン」、ブルーシートを二人乗りで滑り降りる「ジャスミンなどの新競技が生まれ、将来の冬季オリンピック競技への期待が高まった。

一枚のシートに二人乗りで滑走する様はまるでアラジンとジャスミン

幻の大滝はここから望遠できました

下山後はいつもの中華屋「福鑫楼」(初訪問)にていつもの定食で冷えた身体を温め帰路についた。

いっぱい動いたのでいっぱい食べます