【アイスクライミング】和名倉沢大滝
今日も今日とて
さて、今日も和名倉沢である。
沢の奥深い地点で息を潜めている大滝だが、実はアプローチ道中に偵察できる場所があることを山葵滝の時に発見していたわけである。
2/1のランナウェイには「ついでに和名倉沢大滝の偵察をしよう」という目論見があった。
そんなにしっかりと偵察できるわけではないが、なんとなく凍ってそうなことが確認できたが、細部の状況はわからず、登攀可能と確実に言えるものではないが、「秩父ってそんなもんだし・・・」ということでこの日に決行することにした。
冬季・和名倉沢本流
メンバーは俺、隊長、パイチェン。
アプローチは今シーズン何度も歩いたため、もはや慣れた道・・・のはずだったが、一本目の涸れ沢のだいぶ下に合流してしまい少し時間をロスする。うーん、やはりそんなに簡単ではないな。
一度山道(仕事道?)に合流してからは比較的明瞭な踏み跡となるが、氷谷を過ぎると途端に不明瞭かつ荒れ道となる。
この踏み跡は大滝下の通らず基部まで繋がっているのだが、うまく道が拾えず、無理に探しても時間が無駄なので、沢が大きく左に曲がる所で沢に降り、沢沿いを歩くことにした。
沢に合流してから1時間ほどで通らず基部へ。
通らずの釜、そして通らず自体も、氷結は甘いが凍っている。大滝はまだ見えない。
ここでアイゼンを装着し、通らずを直登する。
夏はつるつるの沢床で、水流も多く、とても登れたものではない「通らず」だが、冬にはアイスクライミングで簡単に登ることが出来る。こういうところがアイスクライミングの趣きの一つだ。
和名倉沢大滝
さて、大滝に到着。
流芯はガンガン流れているが、周りはうまく凍ってくれている。
「これは登れる(たぶん)」
やはり不穏なのは落ち口だが、まあなんとかなるだろう。(アイスクライミングでは一番ダメな思考である)
パイチェンのドローン撮影を待ってから、ジャンケンで登攀順を決める。
レッツ・クライミング
P1:ゴリ
ウロコにフッキングを多用し、特筆することもなく中間部のテラスでピッチを切る。
P2:隊長
上部は氷結が悪く、プロテクションの位置も限定されるが、決して難しいクライミングではない。
上に抜けてからなんかワーワー騒いでいるが、とりあえず一段落したようなのでフォローで追いかける。
上部ではまさかのボディビレイ・・・。
なんでも立木まで行こうとしたら釜に落ちて胸まで水に浸かり・・・ということだったそうだ。
それでワーワー言ってたのか・・・。やっぱりトランシーバーって大事ね。
パイチェンのフォローを待ちながら釜を高巻き、懸垂で釜を超える算段をつける。
そう、大滝登攀はあくまで手段であり、その先を見るのが今日の目的だ。
その先へ
釜を超えてすぐ右岸から合流する沢に10m程度の氷瀑を確認し、「これが船小屋窪沢か?」なんて思ったのも束の間、その先5分くらいのところに
いた!
でけぇ!
なるほど、確かに60mあるわ。
さらに先に進み、30分程で「和名倉沢上流の滝」へ。
直瀑と聞いていたが・・・これは、登らなくていいか・・・
時刻も14時を回っており、これ以上クライミングに欲を出すと下山が苛酷になりそうということで、船小屋窪沢の大滝の基部でちょっとはしゃいで帰路につくことにした。
途中、神に出会う
一部の滝マニアには「和名倉沢大滝」「船小屋窪沢大滝」「和名倉沢上流の滝」の3本が撮影の対象とのことで訪瀑したが、実際にどういう形状か、写真としてではなく、アイスクライミングとしての趣きがあるかは実際に見てみないとわからないもんだ。
次回は船小屋窪沢の大滝を登り、今シーズンどっぷり浸かった冬季和名倉沢の冒険のフィナーレとしたい。
【アイスクライミング】氷谷上流走破作戦「ランナウェイ」
氷谷を駆け抜けろ
1/9に氷谷・山葵滝を登った時、眼前に延々と続く氷の回廊に目と心を奪われた俺は、下降支点にアックスを残置した。
「ここには何かがあるはずだ。でも何も無くてもいい。」
そう考えた俺とマチャは時間の許す限り氷谷を突き進むことを考えた。
作戦名は「ランナウェイ」
ここに執着があったわけではないが、この年は1月後半に暖気が入り、各地の状況を見るに大滝系は全滅したと判断したため、比較的持ち直し易いと思われるここが唯一の選択肢となった。
いざ氷谷上流へ(~F3)
夜明けと共に出発、相変わらずの悪路を歩き、3時間程度で山葵滝(F1)の基部へ到着。
(氷谷出合いには二段瀑があり、谷としては山葵滝がF3となるが、氷結が悪く登攀対象とはならないことと、山葵滝までは距離が空き過ぎるため、山葵滝をF1としている。)
装備を整えて前回既に登攀済みの山葵滝を右から高巻くが、普通に死にそうになる。
山葵滝を高巻くとまず待ち構えているのはⅢ級30m程度の滑滝(F2)。
F2を登り終えると、二俣になっており、F2取り付きからなんとなく見えていた上部の氷は右俣であることがわかる。
20m,Ⅴ級程度(F3)だが、氷の状態は良くは無く、見た目以上に難しそうだ。
そしてここまで来るとF3の先にもまずまずデカいのがあることがわかる。
本流は左俣だが、どう見ても見栄えの良い右俣に標的を変更する。
ここまででもしっかりアイスクライミングが楽しめる。
いつまで続くのか、氷谷上流(~F5)
F3を登り終えるとすぐ目の前に20m,Ⅴ級程度(F4)が現れる。F3と異なり、しっかり氷結している。
F4の落ち口付近まで来ると、今までのものよりちょっと大きい氷瀑が姿を見せた。
25m,Ⅴ+くらい?(F5)
これまた登り応えがある。
おいこれ終わんねぇぞ。
F5の先は滑滝を挟んで右に曲がっており、先が見えないが、どうやら稜線も近そうだ。
いい加減飽きてきた俺を尻目にマチャが先を見に行き無線を飛ばす。
「源頭です」
ああやっと終わった。
エピローグ(下山核心)
帰りは同ルート下降だが立木がうまいところに無く、すごい時間が掛かる。
そうこうしているうちにラスト、山葵滝の上部にセットしたロープが引き抜けなくなり、結局パスしたはずのF1も登るはめになった。
魚もおらず、ロクな遡行図もないこの沢に通う程来たのはきっと俺らが初めてで、なんなら支流を上まで登ったのは人類初と言っても過言ではなく(知らんけど)、そんな俺たちを愛しく思った氷谷の神が、そうそう簡単には帰したくなかったんだろう。
そんな氷谷の神に想いを馳せ、頑張って来た道を戻り、車に戻ったのが20時頃。
自分としては退院後初めてとなる14時間行動で、その後の美味しい中華もあまり喉を通らず、タフな山行となった。
次回、氷谷に来るとしたら、本流の完全遡行と稜線からの直接下山をしてみたいと思う。
でもしばらく氷谷の神には会いたくねぇなぁ…。
つづく?
大谷沢ミックスエリア開拓 Day1
記録概要
日付
2023年1月22日(土)
メンバー
- ゴリーダー
- パイチェン
- デクノ・ボウ(記)
主な装備
- 各自アイスクライミング装備一式
- 60mシングルロープ1本
- 撮影機材
両神山でアイスクライミング?
ゴゼの滝偵察へ
暖気が入り、各地のアイスクライミングエリアの氷瀑が崩壊してしまった。
もともと氷結の甘い奥秩父の氷瀑もきっと同じようにダメージを受けてしまっただろう。今回は、それでも比較的マシだと思う(そう思いたい)両神山のアイスクライミング、およびその周辺エリアの調査に出かけることにした。
暖気によって崩壊した氷瀑たち
1時間ほど歩くと、ゴゼの滝が見えてきた。遠くから見たときは氷が残っていて安心したが、近づいてみるとやはり登攀するにはかなり無理がある状態だった。
今シーズンすでに氷結はしていたようだが、足元に大きなアイスブロックがごろごろ転がっており、暖気で氷瀑が崩壊した様子がうかがえる。
両神山でミックスクライミング?
気持ちを切り替えて次のエリアへ
早々と気持ちを切り替えて、ゴゼの滝を後にした。次はミックスクライミングができそうな程度の氷柱があるエリアへ向かう。正直期待はできないが、ゴリーダーは氷がなくても登れるようにカムやトライカム、ボールナッツなどを持ってきている。しかし両神山にアイスエリアがこんなにあるとは、あまり知られていないのが不思議なもんだ。
ゴリーダーの奮闘
予想通り、氷はほとんど残っておらず、足元には大きな氷塊が転がっていた。
ゴリーダーはナチュラルプロテクションでどこまで登れるか試すとのことで、アイスクライミングではないが、奮闘的なクライミングが始まった。
ナチュラルプロテクションの恐怖
結果的にこの日は、敗退した。
さすがのゴリーダーでもナチュラルプロテクションでの攻略は厳しかったようで、ここで新たにルート開拓していく方針が決まった。
途中、ハーケンが抜けて、ゴリーダーがグラウンドフォールした瞬間、パイチェンとデクノ・ボウは恐怖のあまりに悲鳴を上げた。登っている当人より、見ている人が怖い。そんなスリリングな1日だった。ボルトが打たれれば、面白いスポートルートになりそうな予感。
大谷沢MIX乞うご期待
…と言うことで、今日はここまで。
このあと雲取林道を調査してから、おいしい中華料理を食べて、帰りました。
今後の大谷沢MIXに期待。
つづく!
大洞川・氷谷・山葵滝アイスクライミング
登攀記録概要
日付
2023年1月8日(日)
メンバー
- ゴリーダー
- マチャアキ
- パイチェン
- デクノ・ボウ(記)
主な装備
- 各自アイスクライミング装備一式
- 各自渡渉用ゴム長靴(途中デポ)
- 60mダブルロープ2本
- 撮影機材(カメラ、三脚、ドローン等)
これまでの経緯
ゴリーダーの単独調査の結果、和名倉沢の支沢、氷谷に登攀対象となる氷瀑「山葵滝」があることが分かった。今回はチームメンバー4人で獲物を狩りに行く山行である。
近くて遠い。劣悪なアプローチ
三峰観光道路~出合まで
ゴリーダー宅に前泊したパイチェン、デクノ・ボウ。明朝マチャアキと合流し、4人パーティーで今回の旅は始まった。空が明るくなる頃に大洞川へ入っていく。
序盤は写真に残っていないが、冷たい川の渡渉がある。ここはゴム長靴を履いて渉る。その後は登山靴に履き替え、ゴム長靴をデポ。そして、急登の始まりだ。
朝から表情に陰りを見せるデクノ・ボウが登りで失速。明らかに状態がおかしいということで、引き返すかどうか審議が入る。
結果、デクノ・ボウの装備を一部マチャアキとゴリーダー(※身体障害者)が分担することになり、続行判断。
氷谷入渓~山葵滝
約2時間で氷谷の入渓地点へ到着。ここからは巨岩がゴロゴロ転がっており、冬期の沢登りになる。小さな渡渉はジャンプでかわし、小さな岩壁は攀じ登る。1箇所だけ、リスキーな岩壁があり、そこでロープを出した。
事前に調査しているゴリーダーの情報もあり、ここまで無駄なくスムーズな行動と判断ができている。これまでの試行錯誤があってこそ今日の行動を実現できている。
そして、登攀へ…
いよいよ姿を現した山葵滝。秩父の滝とは思えないほどしっかり氷結している。
もはや言葉に言い表すことが難しいほどに儚く、脆く、尊い。そして美しい氷瀑だ。ここに辿り着いただけで一定の達成感があり、登らせてもらうこと自体はオマケ要素にも思える。
参考程度の情報になるが、高さは30~40m程。傾斜はやや緩めだが、なかなか迫力のスケールだ。アイススクリューは10本もあれば十分だろう。1月上旬でここまで氷結していたことに驚きだが、おそらく今シーズンは出来がいいと思われる。
さぁ誰が先にリードするかジャンケンで決めよう…なんて展開にはならず、満場一致でゴリーダーに決定。このプロジェクトの起案者にして、調査に時間を費やした功労者。今回は撮影メンバーもいるので、さぁ楽しんでくれ。
初登なのか?という問いに対して
今回の山葵滝のアイスクライミングに対して、初登者がゴリーダーになるのかどうかは不明である。もちろん、その可能性もあるのだが、登ったという記録を発表できればそれで充分というのがチームの総意となった。(もしこの滝について情報を持っている方がいればぜひご連絡ください)
さて、存分楽しんだ後の帰りが長い
登攀を楽しんだ後、すぐに下山の準備。行きと同じ経路をたどる約3時間半の工程だ。リスキーな個所はできるだけ暗くなる前には通過しておきたい。今後も氷谷に行く場合は、時間管理はシビアになりそうだ。懸垂下降は1箇所のみ。渡渉はデポしたゴム長靴にて。最後の登り返しが体力的にキツイが、歌えば楽し。
氷谷の更なる可能性
今回、登攀した山葵滝であるが、その先に更なる獲物の存在を確認できた。なぜ、この谷が「氷谷」と名付けられたのか気になってはいたが、何となくその由来を感じさせる光景が目に入った。
もしかしたらこの谷は途轍もないポテンシャルを秘めているかもしれない。氷谷の続編は乞うご期待。
【調査】大洞川・和名倉沢支沢・氷谷
氷谷とは・・・
氷谷は奥秩父でも有数の美渓と名高い和名倉沢の支沢である。
氷谷の情報は乏しく、古(いにしえ)の和名倉沢の遡行図にちょこっとだけ情報が載っているものの、和名倉沢に比べ遡行の趣きは少なく、時間を掛けてまで氷谷の遡行に出向く者はよっぽどの物好きくらいだろうか。
しかしこの遡行図によると、和名倉沢との出合いにかける二段瀑を超えた20分程のところに落差30mの滝があるとのことだ。
図書館などで調査を進めると、どうやら山葵滝と呼ばれているらしい。
さらにネット上を検索すると、唯一出てきたブログには「山葵滝が崩壊した」ということであった。
いやしかし、滝が崩壊なんてありえるのか・・・?
そもそも他人の言うことを信じるのか?
俺は自分の目で見たモノしか信じない。山葵滝はきっとある。
そんなこんなで氷谷の遡行を決めた。
復習の和名倉沢(登山道)
当日はメンバーが捕まらず、ソロでの活動となった。
退院後にソロで長時間活動は初めて。
また氷谷出合いの二段瀑の高巻きが出来るのかもよくわからず、場合によってはアグレッシブになること請け合いだ。ぶっちゃけ不安だ。
ということでマチャに「夜までに連絡が無かったら通報してくれ」とメッセージを送り(よく考えたらなんの解決にもなってないが・・・)、いざ活動開始。
先日の和名倉沢大滝の調査を活かし、今回は吊り橋を渡らず長靴で渡渉する。たぶん10分くらい早い。
そのまま和名倉沢に突入し、早速右岸から左岸へも長靴で渡渉、なんかもうめんどいからそのまま長靴で活動を継続した。
前回、下山時にしっかりとした踏み跡を確認しているのでうまく合流できるかと思ったが、なかなか正規の登山道が見つからない。
正解を知っているだけにタチが悪く、見つけようとして右往左往し、結局石津窪を遡行して登山道と合流した。結局ここまでに1時間半掛けてしまった。
登山道に合流してからは快適な歩行となり、氷谷への降下点まで約1時間で到着。
ロープは使わず、歩いて沢に降り立った
氷谷へ
さて、核心はこいつをどう越えるか。
沢靴なら水流の左側がいけそうだが・・・。
左からの大高巻きは先が見えず不穏。
ということで今回は右からの高巻きで越えることに。
無事に越えると、情報では伏流とのことだったが、水流がある。
でも少し歩くと伏流となり、ゴーロと呼ぶには些かデカすぎる巨岩帯へ。
しかし崩落したにしては周囲の地形が平凡過ぎる。
ここまで30分以上歩いているが、もう少し様子を見ても良さそうだ。
と、目の前に二俣が現れる。
遡行図が確かならここが大滝がある地点。
崩壊したというのは本当なのか・・・。
諦め悪く右俣の基部に近づくと、遠くから水の流れる音が聞こえる。
まだ諦めるのは早そうだ。
山葵滝
水の音に呼ばれるように巨岩帯を進むと、様相が変わってきた。
気温は下がり、雪が残っている。
そして雪を払うと氷が現れた。
さらに歩を進めると、青白いモノが見えてきた。
滝だ。しかも凍ってる。
標高約1060m地点、落差約30mくらいかな?
氷谷出合いの二段瀑を越えてから約1時間程度。
なんだよ、遡行図とかって全然嘘じゃん。
崩壊との情報があった山葵滝は健在であった。
しかしもうここまで氷結しているとは・・・。
和名倉沢に比べると水量はかなり少ないものの、和名倉沢の大滝とほぼ同標高なだけに、あちらも期待出来そうだ。
ということで一頻り愛でた後、帰路についた。
さて、シーズン到来が楽しみですな。
奥秩父大洞川井戸沢椹谷ホラノ貝窪〜プロジェクト・ドラゴンダイブ〜
奥秩父にドラゴン狩りへ
参加者
ゴリラ(リーダー)、マチャアキ、デクノ
飛竜山の北面調査
久しぶりの調査と言うことで、今回はリーダーが長年温めていた企画「プロジェクト・ドラゴンダイブ」が始動。何のこっちゃと言う感じではあるが、つまり、そう奥多摩の飛龍山の北面を見に行こうぜと言う企画である。
ちなみに飛竜山に登る訳ではないし、直接的な関係はあまりない。響きがカッコいいと言うだけのノリである。ドラゴンダイブと言えば、ハンターハンターの念能力か、あるいはポケモンの物理攻撃技を想起することだろう。リーダーは前者であった。生涯現役?お疲れ様です。
さて、飛竜山の北面に目を付けるなんて流石リーダー。標高2000m弱の北面に滝があるならば、そりゃもう言うまでもなく、冬の景色が楽しみなのである。
取り急ぎ、アプローチを調べてみたところ、最寄りルートからでも結構時間がかかりそうだ。
ゲート手前の駐車場から林道歩きが2時間弱。そこから一般登山道を3時間弱。その後は道が無いため、適当な尾根かルンゼを降りる感じになるだろう。等高線を見る限り、降りやすい尾根は見当たらないが、まぁ後は現場判断になるだろうと、概ねのアウトラインを頭に入れる。
前日夜、リーダー宅に集合。自分より数時間も先に到着していたマチャアキ隊員は既にハードなトレーニングを行なっていた。(大丈夫なの?w)
談笑し、3時間程度の睡眠を取った後、出発。
アプローチ登山道~下降点
予定よりも少し遅れて、朝5時半過ぎにゲート前の登山道に到着。そこに唐突に現れるカボチャ。とりあえずパシャリ。
今回の装備は、60mダブルロープにハーネス、ヘルメット、スリングやカラビナを数枚。撮影機材。今回の荷物はそこまで重くないが、冬に行くとなればテント泊や登攀装備も加わるため、もっと重くなるし、体力的にかなり厳しい。林道は帰路のことを考えて、自転車を引いていく。
リーダーは足に障害を抱えているため、長時間の歩行は厳しいと思うが、今日は調子が良さそうだ。やがて登山口に到着。
途中で経由した三篠の湯は登山客で賑わっていた。今更ながら初めて来た場所だが、とても良い雰囲気なので、いつか一人で来てみたいものだ。
ここから登山道は標高を上げるために勾配が強くなる。マチャアキ隊員の進軍に続くデクノ。リーダーはストックを付いてハイペースで登る。
下降点〜調査開始
9時過ぎに北天のタルに到着。標準コースタイム6時間のところを3時間20分程度。良いペースだ。しかし先頭を歩くマチャアキ隊員を何度も待たせてしまっていたため、彼一人なら余裕で3時間は切るだろう。体力が凄まじい。見習わなければ…
ここからいよいよ登山道を外れ、下降点を探す。この先のエリアは情報が非常に少ないため、我々は魔界と呼んでいる。一般のハイカーに今日はどこ行くのですか?と訊かれ、魔界とは言えず、適当に回答した。谷の方に降りますと。
事前にある程度、方針を打ち合わせ、なるべく最短距離でルンゼを降りることを試みたが、これが思ったよりタフで上手くいかない。地形を読むのは難しい。
ルートファインディングが難しい
ドラゴン(滝)に出会うまで奔走
四苦八苦した末、ようやくホラノ貝窪らしき場所に到着。ここまで6時間くらい。滝が近づいてきて、気持ちも高揚する。
沢登りのトポを見ながら沢沿いに歩き、滝を探すが、それらしき大物がなかなか見つからない。やはりヤマはそんなに甘くない。時間的リミットにも余裕はない。合流点に戻って、沢を下ることを決断。
そして、ようやく1時間後に大滝を発見。やはり凄まじく大きい滝だ。滝の落口部分にいるため、全容を見渡すことはできない。懸垂下降して確認する時間もない。
…と言うことで、ここでようやくデクノの出番登場。ささっとドローンを組み立てて、空撮を試みる。大木が立ち茂っていて、飛ばしづらい場所であるが、練習の成果?が発揮された。
滝の全容を映像に収めることができて、本日のミッションは完了。滝の映像を確認して、思わず「竜のような滝だ…」という感想が漏れ、このプロジェクトにもストーリー性が生まれたと思う。
脱出
後は帰りに確実な尾根を登り返して、ここまでのアプローチを最適化するのみ。マチャアキ隊員とケルンでマーキングする遊びを混じえながら苦しくも楽しく登り返す。
次回は冬
行動時間が10時間を超えて、黄昏時に稜線へ戻ってきた。しかしここからまだ長い。夕闇が迫る中、歩き続ける。ラストの登山道と林道はヘッデン下山となったが、適切な下降点が把握できたため、次回以降はスムーズに行けるだろう。
あくまで本番は冬季なので、積雪量なども障害になってくるかも知れない。様々なイメージを膨らましつつ、タクティカルに楽しみたい。個人的には良い映像を取れると良いかな。
お疲れ様でした。
ついに成し遂げた「一ノ倉沢クレバス」登攀!
念願の「一ノ倉クレバス」登攀
【フィールド情報】
「一ノ倉沢クレバス」
グレード:???
※全てにおいて情報は不明。廣川健太郎の著書「新版アイスクライミング全国版」富士山サミットフォールの一文に「谷川岳一ノ倉沢クレバスを除くともっとも遅い時期に登れるルート」 という記載がある程度。
【活動記録】
令和4年6月21日(火)
天候:晴れ
気温:19℃くらい
メンバー:隊長(吉田)、ゴリーダー(橋本)、まちゃあき(Zaki)
廣川健太郎の著書「新版アイスクライミング全国版」の最後の方のページ・富士山サミットフォールの一文に「谷川岳一ノ倉沢クレバスを除くともっとも遅い時期に登れるルート」 という記載があるんです。 たったこの一文から始まったプロジェクト。
今回は、念願の登攀編。
長かった…ここまで来るのに、どれほどの時間を費やしたか。
温めていた計画が故に、いざ登攀となると何とも感慨深いものがありました。筆者の感想はさておき。
この日は、天気も良く気温も安定していて、午前から午後にかけてピーカンの真夏日の予報。
絶好の登攀日和でした。しかし、好天過ぎるのもアイスクライミングにとっては危険因子が増えてしまうので、早朝行動・迅速登攀・早期撤退を念頭に活動しました。今回も、一ノ倉沢出合いまではチャリーズエンジェルで向かいます。
「オイ~ッス、早くしろい!」と朝からいつものテンションの隊長です(笑)
しかし、次の瞬間には「仁王ストック」は無くなっていました…どこへ?
廣川健太郎の著書「新版アイスクライミング全国版」の最後の方のページ・富士山サミットフォールの一文に「谷川岳一ノ倉沢クレバスを除くともっとも遅い時期に登れるルート」 という記載があり、 たったこの一文から始まったプロジェクト。
こんな、不確定要素しかない、クライミングが成り立つのかも分からない、そもそもクレバス自体が何処に存在するかも分からない状況で、有力な情報すらなかった「一ノ倉沢クレバス」でのアイスクライミングこそ、正に「冒険」。私は、これこそが山の本質を突くような山行だとも改めて感じました。
先人たちはこうやって、このような不確定要素の「冒険」を楽しみながら、己の知識・技術を磨き、更なる高みへと向かっていったのでしょうね。
それこそが「アルピニズム」なのでしょう。
その精神性を敬服するとともに、見習って行ければと思う所存でございます。
まぁ先人たちのように、厳冬期の岩壁を素手で登るとか、食料は飴のみで数時間の厳冬期登攀に耐える、とかなんて事は流石にやりたくはないですが…
アルピニズムを代表するこの地で改めた感じたこの思いは、今後の我々の活動の大いなる糧となったに違いないと思います。今後も、真面目に、何だか訳の分からないこともやりつつ、楽しみながら「冒険」を続けていければと思いますね。
冒険は続く…
(追伸)
無事に任務を達成し安堵感に浸っていると、隊長の独壇お絵描き劇場「キン肉マン布教活動」が勃発しました。
なんでも、今回のテーマは「ロビンマスク」だとか…
最終的にはこっちの布教活動の方が白熱してしまい、今日は何しに来たのかわからなくなっていました。あれだけ期待や希望に満ちていた「一ノ倉沢クレバス」登攀も、隊長の「キン肉マン布教活動」の面白さには霞んでしまいました。流石です、隊長(笑)